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しきなみ短歌10月号より法人関係者の作品

白光集

● 孫 陽(はる)くん         岩槻 横山みつほ

  ジェット機に乗った様なる時の早さ今朝は五月のカレンダーめくる

  六月の十日に生まれし初男子陽くん明るく元気に育て

  庭に咲く大山れんげ白き花みどりの風にまかせてゆらぐ

群蛍集

●  やすらぎ       前川第二 浅尾和子

  三峰の山は緑に輝きて静かに沈む夕日いだくも

  老づきし吾を気づかう妹のやさしさしみる電話の声に

●          差間北原台 伊藤譲次

  里帰りににぎわうSAレストラン冷房工事に徹夜す吾は

真砂集

●            大宮 和田せつ子

  遠みゆる故郷の山霞みたり我が魂の帰る処は

  潔く花びらパット開きたる「隅田の花火」と名付く紫陽花

 ○評 自分の魂の帰る処を思う遠霞みの故郷の山も「隅田の花火」と

     名付けられた紫陽花のの様も目裏に鮮やかに浮かぶ歌。

                前川 井田誠一

  淋しさは子供の情報知らずして妻のみ知りて洩れ聞きしとき

  さ庭辺にブラックベリー植え込みてジャムを作るを夢みておりし

●            三郷 加藤地次

  卒寿越え何の楽しみあるのやらせめて葉書を母に書く日日

  三十歳過ぎ五人の子等の義母となり曾孫の誕生喜びています

飛雲集

●  郭 公      浦和法人 前田勝弘 

  ゆくりなく団地の木々に啼くカッコウ追われてきたのか湖畔の森を

  早朝を軽ろやかに啼くカッコウが「いってらっしゃい」と妻にかわりて

  ○ 評 夏の鳥カッコウが団地にいるのは珍しいです。

     奥様の代りに「いってらっしゃい」はユーモアがあります。

●  母         浦和法人 篠田喜弘

  幾筋の皺も弛みてほおもこけ母はひねもす天井見詰む

  母の額一皺ごとのドラマある舞台よ続け百歳までも

  ○ 評 動きが出来ないお母さんの介護より母への感謝の気持ちが詠めて

         いる「百歳までも」が印象的です。

●              岩槻 木城茂雄 

   朝早く街の清掃終えて今思いつつ般若心経

●              越谷 山下ヨシ子

  犬を曳く朝の散歩の夫の背に昇り来る陽の当るまぶしさ

●               松伏 岡田愛子

  藤棚の下より眺むる紫の花房長く長く連なる

青泉集

●  妻              浦和法人 荒井康治

  此の歳で何をせわしく汗ばむや家業愛(いとし)し妻も愛し

  是雑草よと妻に言われし庭先に残せば楚々と花は咲いてる

 ○ 評 仕事と家庭の両立…などという生やさしいものではない深い思いが滲む作品

   「汗ばむ」は「汗する」の方がいいですね。

●            浦和法人 小山昭男

  ポリープを取るまで不安で眠れぬ夜続いていたにあっさりと取れ

  メダカの子今年も生れ老い妻と会話が増えて花咲いたよう

 ○ 評 良性の腫瘍だったのですね。眠れぬほどの悩みもあっさりと

     解決され二首目の比喩にそのうれしさが窺えます

●            浦和法人 堀切広子

  久びさに実家より来し父母を待たせていまだ仕事終らず

●               越谷 米山照子

  仔を生みてひたすら乳をあげる猫用足し以外そばを離れず

●                浦和法人 浅野 博

  欲しいもの何もないと施設での父の安らぎひとつの覚悟

●                浦和法人 小野寺文男

  来たる夏いつも出す熱決意熱きのうとちがうきょうの歩きは

●             浦和法人 國武建明 

  ぽっかりとおむすびみたいな島浮びグリーンの海水浅虫温泉

●                 浦和法人 志村 厳

  あと一軒チケット片手に汗ぬぐうまだ見ぬ友よ君は何処に

●              浦和法人 小滝敏郎

  初夏の風息子と信濃路小旅行ふとした瞬間背の伸びに気付く

●              浦和法人 久慈須美子

  雨上がり若葉の香りいっぱいにあなたと楽しむ峠の小道

●              新郷 栗林重夫

  梅雨空にあじさいの花雨上り光に当りキラキラ光る

●           大宮氷川 内海頼子

  泥んこで手がけし陶芸面白く孫との絆より深まりぬ

●             大宮氷川 大竹豊子

  故郷に戻りて歩く細き路地思い出すのは幼なき日々よ

●              西行田 清水義夫

  荒れた庭暫く振りに芝生張り喜ぶ妻に我が腕あがる

●             西行田 金子袈裟巳

  電車内右も左もマスクマン負けてたまるかインフルエンザ

●              西行田 小澤政治

  道の辺の狭き耕地の麦を踏む妻と老父の歩みは重し

作成日時:2009年9月21日 14:13

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