しきなみ短歌4月号より
白光集
● 宇治橋渡始式 埼玉宮前 横山みつほ
宇治橋の渡り始め式奏楽の音色ききつつ吾も渡りぬ
秋色に深まりいゆく新宇治橋つゆの欄干なでつつ渡る
群蛍集
● 埼玉前川 浅尾和子
老いづきてしみじみ思う親の恩くりかえしみる古きアルバム
夏草の枯れて北風寒き朝橋下の人のつらさ思わる
真砂集
● ゆらゆらと 埼玉指扇 和田せつ子
ゆらゆらと目の前かすめておりてくる青き蜘蛛の子朝日に光る
木洩れ日の小路をゆけば秋海棠山の斜面を覆い華やぐ
○評 おもしろい出会いそのたまゆらを詠まれました。
● 行く人はふと佇みて灯火見る堀川端の霞む雪洞 埼玉前川 井田誠一
● いつからか敬語を使う我が妻の声爽やかに心洗わる 埼玉鷹野 加藤地次
飛雲集
● さいたま市南法人 前田勝弘
カミさんに仕分けされたる忘年会あれもだめならこれもだめかなァ
「歌できた」友に電話をする時が何故か楽しい締め切り日の夜
○評 面白くて声を出して笑ってしまいました。貴方のお身体を案じてのことでしょう。
二首目も仲々出来ない歌が出来た時の喜びの歌。
● おだやかに妻と暮らせる安寧と命の刻み短歌(うた)と書にする さいたま市南法人 篠田喜弘
● 実家よりとどきし新米炊出せば心にしみて故郷の味 差間北原台 伊藤譲次
● 懐かしき行田の友と熱海にて思い出話次から次ぎへ 吉川旭 岡田愛子
● 風やみてほろりと落ちる桜葉の深き紅小春日の朝 吉川旭 竹俣吉康
● 地下鉄の日比谷の通路とぎれなく人は湧き来る老若男女 南越谷 山下ヨシ子
● 記念日に妻より届くラブレター思い熱きに胸うたれたり 岩槻 木城茂雄
青泉集
● 七五三視線を感じ歩く孫いつもと違うおてんばどこへ 大宮氷川 内海頼子
● 下草に落つるひとひらさざん花の生命惜しむか紅色増して ウエスト行田 小澤政治
● 晩秋の同窓会にて初恋の人の仕草に少しときめく さいたま市南法人 小滝敏郎
● 空青く小春日和のおだやかさ父を癒すや和(な)ぎの日本海 さいたま市南法人 浅野 博
● 久々の田舎帰りの妻を見て元気良さそうで我も微笑む さいたま市南法人 荒井康治
● 十年の長きにわたり続きたる歴史の重さこみあげるもの 浦和法人 久慈須美子
● 長野路の濃霧の中を汽車進むとぎれとぎれに紅葉がもえる さいたま市南法人 國武建明
● 天高く紅葉燃えたつ秋空に赤き柿の実ポツンと一つ さいたま市南法人 工藤良衛
● 物いらぬ今年も妻と二人で越せた喜び感謝あるのみ さいたま市南法人 小山昭男
● ひえひえと夜空見上げて窓際に降らぬか降るか雪を待ちわぶ さいたま市南法人 栗林重夫
● 朝起きて身なり整え出かけ行く面接の今日娘の覚悟は 南越谷 米山照子
● 五十鈴川の凍らんばかりの冷水に入りて禊(みそぎ)す心一新 大宮氷川 大竹豊子
● 光國の偉業を残す庭園は冬支度の松紅葉も映えて ウエスト行田 金子袈裟巳
● 痛風の痛みたまらず屋外(そと)に出る体動かし痛みまぎらす ウエスト行田 清水義夫
